この写真は神戸のJR元町駅の改札です。40年前から雰囲気は何も変わっていません。
長距離通勤
私にとっては芦屋令嬢誘拐事件より大ごとな事件でした。
神戸の(株)ファミリアに通勤するルートは以下のようでした。
バス→京阪電車→地下鉄→JR
朝、6時過ぎに家を出ます。バスに乗って京阪のくずはと言う駅に行き、淀屋橋と言う所まで移動します。
冬なんか外はまだ暗いです。車窓を見ながら夜が明けるのを見ていました。
淀屋橋から地下鉄御堂筋線に乗って梅田駅で下車。歩いてJR大阪駅に移動して一息つくため大阪駅のカフェでお茶を飲んだあと、気を取り直して電車に乗って元町駅へ。
と言う生活を毎日続けていました。
会社は9時始業なので8時半までに出勤するように言われていました。始業までの間、仕事の準備やら部署の皆さんのお茶の準備やらをしていました。
家から会社にたどり着くまでに約2時間。
でも全然平気でした。若いからと言うのが一番だと思いますが学生時代も結構厳しい学校(大阪モード学園)で鍛えられていたと言うのもあったと思います。
帰りも同じルートで帰ります。定時に終わる事はあまり無かったので家に着いたらまたすぐ次の日が来る。みたいな感じでした。
私は平気だったのですが、バカにならない定期代。
半年分を前払いで現金でもらうのですが、15万円位掛かっていました。
定期代をもらう度に経理のエライさんに「あんた、給料より定期代の方が高いやんか」と良く言われていました。
知らんやん。そんな私を雇った会社に言うてくれ。と思いましたが。。。
その定期を落とした!
ある日、仕事が終わって駅に行き改札を通って(当時は有人改札)帰りの電車に乗りました。
ふと、「定期どこにしまったっけ」と思い電車の中で探したのですが、無い!どこを探しても無い!
・・・・顔面蒼白でした。
買い直すお金なんて無いのでもう会社に行けない!と本気で思いました。
電車を途中で下りて元町駅に引き返しました。
改札で駅員さんに「定期を落としたんですが届いていませんか?」と聞いていた所、私に声を掛けて来たご婦人が。。。。
「あなたの落とした定期はこれ?」
なんとそのご婦人の手には私の定期が握られていました。
定期の金額を見てビックリして、絶対すぐに落とし主は戻ってくると思って改札で待っていて下さったそうなんです。
本当にありがた過ぎて、何回お礼を言っても言い足りないですが、お礼を言う私に「良かったね」だけ言い残してそのご婦人は去って行かれました。
人の温かさを感じた夜でした。
この元町駅に行く度にその時の事を思い出します。
改めてその時のご婦人にお礼を申し上げます。
その節は本当にありがとうございました。
お陰で会社を辞めずに済みました。感謝してもしきれません。